思い込んだら
いったん「これで、間違いない!」と思い込んでしまうと、他人に指摘されるまで、なかなか気付かないものです。球転がしを「ボーリング」と書くのが当たり前だと思い込んでいるのも、その一例でしょう。今回、いろいろと調べているうちに、高校や大学のクラブ・サークル活動で「ボーリング部」と紹介されていたり、有名ポータルサイトで「スポーツ>ボーリング」や「趣味>ボーリング」というカテゴリーが存在したり、タレントさんや放送局のアナウンサーさんがブログなどで「ボーリングをしました!」と書き込んでいたり、はり師・きゅう師の国家試験で「ボーリング」、宅建で「ボーリング場」と出題されていたり、ケータイで「ボーリング」だとボールとピンの絵文字に変換するのに「ボウリング」だと変換されなかったり、小中学生の教科書でも「ボーリングのボール」と掲載されていたりと、言い出したらキリがありません。
朝日新聞の2010年(平成22年)3月3日水曜日、大阪市内版の朝刊30面に掲載されていた記事です。大阪市の街頭犯罪の汚名返上をPRするポスターの記事中、残念ながら「ボーリングのピン」と記述されています。朝日新聞社が発行する「朝日新聞の用語の手引」には、「ボウリング」と表記するように書かれているのですが、記者さんは「ボーリング」だと思い込んでいたのでしょう。また、それに気が付かない周りの校閲する人も含めて、しっかり用語を勉強してもらいたいですね。
「ボウリング(球技)とボーリング(掘削)」は、使い分けるのが慣例ですから、「使い分けよう」でもご紹介したように、一般常識で「ボウリング」の表記を問う出題がされています。球技の意味ならば「ボウリング」と書くのが、もはや常識であることを前提に出題されていますから、「ボウリング」ではなく「ボーリング」を選択すると、不正解になってしまうのです。
就職をする場合などで、履歴書の「趣味・特技」欄に「ボーリング」と書いて提出したら、「ボウリング」と「ボーリング」の使い分けを理解している人事担当者が見れば、おそらく笑われるでしょうね。会社案内の福利厚生欄に「ボーリング大会」と記載している企業なら、「趣味はボーリングです」と書いて応募しても、何ら問題ないと思いますが。(笑)